Sサイズ天然蝦夷あわびによる干しあわびの開発・普及事業
中国ではとても珍重されている「干しあわび」、実は最高級品は日本産だった。
最高級と評されている日本産の干しあわびを日本国内で流通させたいという思いから、『ふくあわび』推進事業は、生産者、加工業者、その価値を見いだした中国料理店南国酒家との連携により、干しあわびの新しいブランドとして立ち上がりました。
日本国内に18店舗を展開している中国料理店「南国酒家」 では、中国料理を通して、良質の国産食材をより広く知ってもらおうと、2008 年より「うまいものにっぽん」と題しイベントを開催しています。
日本各地の生産者と連携し、その地方ならではの特産物を活用して、さまざまな料理を提供し、その地方の特産物を多くの方に紹介してきました。
この取り組みの中で出会ったのが、青森県尻屋漁業協同組合(以下、尻屋漁協)でした。
尻屋漁協は良質な蝦夷あわびが育つ漁場を有しており、常に最新の漁法を取り入れ品質の高い天然蝦夷あわびを産出してきました。 この天然蝦夷あわびを利用して江戸時代から中国へ干しあわびを輸出し、現在も香港等の高級中国料理店向けに輸出しています。
一方で尻屋漁協はあわび市場の乱高下や海外産あわびとの競争激化に悩んでおり、付加価値の高い干しあわびの生産・販路拡大を模索していました。
日本国内の消費者の方に、“おいしい干しあわびを手頃な価格で食べてもらいたい”
こうして、南国酒家と尻屋漁協は、この思いで一致し、日本国内向け干しあわび開発の挑戦が始まりました。
輸出に適さない標準サイズあわびを利用した干しあわび開発
中国では縁起物としても扱われる干しあわびは、色・形・大きさの注文が極めて厳しく、特に大きいものほど珍重され、味が同じでも小さな干しあわびは買ってくれません。ところが天然蝦夷あわびでこれまで干しあわびに利用できる大きなサイズの天然蝦夷あわびの漁獲量はとても少なく、大部分を占める標準の小型サイズのあわびは干しあわびに使えませんでした。

尻屋漁協と南国酒家はここに注目。日本国内向けの干しあわびとしてこの標準サイズのあわびを使った干しあわびを開発することにしました。漁獲量の7割を占める標準サイズのあわびを利用することにより、従来の干しあわびに比べ価格を抑えることができ南国酒家にとっては手頃な価格で、最高級の干しあわびをお客様に提供できることになります。また、生産者である尻屋漁協にとっても、活きあわびで販売するよりも付加価値をつけることができ、かつ安定した価格で取引ができます。
こうしてこれまでにない日本国内向けの干しあわび「ふくあわび」が誕生しました。
先進的な取り組みが認められ「農商工等連携事業計画」に認定
南国酒家と尻屋漁協のこの先進的な取り組みが認められ、平成22年度「農商工等連携事業計画※」の認定を受けました。これは農林水産業の生産者と中小企業が有機的な連携を行い、新しいサービスや商品を生み出す事業に対し、農林水産省と経済産業省が共同でその事業を認定し、継続的に支援する国の事業です。
今後、これらの支援を受けながらご協力いただける事業者様とも連携し「ふくあわび」は日本国内での普及を目指し、様々なかたちで商品展開を図ってまいります。
また、新しい干しあわびの魅力として、中国料理に限らず和食・洋食での活用にも挑戦していきます。
本場中国が最高級と認めたおいしさを手頃な価格での、ふくあわびの今後にご期待ください。
※平成20年に制定された「農商工連携等促進法」に基づく国の取り組みで、農林漁業者と商工業者等が通常の商取引関係を超えて協力し、お互いの強みを活かして売れる新商品・新サービスの開発、生産等を行い、需要の開拓を行う事業計画を国が認定し、認定された計画に基づいて事業を実施する方々を各種支援策でサポートするものです。
▼詳細は、下記の農林水産省ホームページをご覧ください。
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/nosyoko/index.html
【南国酒家/尻屋漁協の農商工連携等事業計画】
平成23年2月認定 『Sサイズ天然蝦夷あわびによる干しあわびの開発・普及事業』
大量に漁獲されるSサイズ天然蝦夷あわびを原料とした干しあわびの製造及び飲食店向メニュー、加工食品の開発・販売事業
【事業内容】
・製造過程の品質管理の徹底とマニュアル化による量産化と品質管理の向上
・ふくあわびを使った料理提案
・南国酒家におけるコース料理、単品メニーの試作、開発
・フランス料理店、日本料理店などの中国料理店以外でのメニュー開発振興
・ふくあわびを使った加工食品の製造・販売
・インターネットやパブリシティを活用した、ふくあわび振興事業推進